第3話 パーキンソンの法則と、持株会という「先取り」の種

仕組みの作り方

前回までは、エルグランドへの片思いと、セレナからの買い替え問題、そして「意志力に頼らない仕組みを作ろう」と決意したところまでお話ししました。

今回は、その仕組みの原型になった、ある法則との出会いについてです。

「目的のないお金は、いつか吸収される」

きっかけは、YouTubeでたまたま見かけた1本の動画でした。テーマは「パーキンソンの法則」。

内容を簡単に言うと、

支出の額は、収入の額に達するまで膨張する

というものです。要するに、手元にお金があればあるだけ、使い道が見つかっていくようにできている、ということらしいんです。

我が家は、家計管理は妻が担当していて、自分は小遣い制。だから「自分がついつい使い込んでしまう」というタイプの話ではありません。ただ、聞きながら思ったのは、これは個人の浪費癖の話というより、もっと構造的な話なんじゃないか、ということでした。

たとえば、ボーナスなど、まとまった額が入ってくるタイミングを考えてみます。そのお金に「これは車の資金」という明確な目的地が決まっていなければ、たとえ妻がどれだけしっかり管理していても、結局は生活費の補填やその時々の出費に、少しずつ紛れて溶けていくと思います。妻の管理能力の問題ではなく、「目的が決まっていないお金は、いずれ何かに使われる」という、お金そのものの性質なんだろうな、と。

だったら、「家計に入る前」に目的地を決めてしまえばいい

この動画で紹介されていた対策が、いわゆる「先取り貯金」でした。

収入が入ったら、真っ先に目的別に振り分けてしまう。「何のためのお金か」が曖昧なまま、生活費の入口に流し込まない。

これを聞いて腹落ちしたのは、「貯金は、余ったらするもの」ではなく、「そもそも生活費として認識される前に、行き先を決めてしまうもの」なんだ、ということでした。順番を変えるだけで、こんなに話が変わるのかと。

収入ー支出=貯金ではなく、

収入ー貯金=支出

そういえば、持株会も「先取り」では?

「先取りの仕組み、何か作らないと」と考えていたタイミングは、実は新しいNISA制度がスタートした時期とちょうど重なっていました。

制度が変わるタイミングだったこともあり、それまで少額のまま積み立てていた会社の従業員持株会を、久しぶりに見直すことにしました。実はこの持株会、入社時から一度も引き出したことがなく、ずっとそのまま放置していたものでした。

実はこの時点で、NISA自体は初めてではありませんでした。つみたてNISA時代から月5,000円で少しずつ積み立てていて、YouTube等で学びながら増額を重ねていたんです。ただ、持株会とは完全に別のお金として扱っていました。
そこに、新しいNISA制度への切り替えというタイミングが重なりました。せっかくだからと、この持株会を一度引き出して、こちらもNISAに合流させることにしたんです。その作業をしながら、ふと気づいたんです。

会社の持株会って、これってもう「先取り」の仕組みそのものじゃないか、と。

給与から天引きされる形で、家計に入る前の時点で自動的に積み立てられていく。しかも、うちの会社の持株会には奨励金が10%ついていて、ただ貯金するよりも増える分だけ有利。「わざわざ新しく先取りの仕組みを作らなくても、もうすでに持っている手段を活用すればいいのでは?」と思い至りました。

そこから、昇給のタイミングに合わせて持株会の拠出額を少しずつ増やし、そのお金でNISAへの積立を続ける、という流れができていきました。このあたりの具体的な金額の推移は、また別の回で詳しくお話しします。

ただ、この時点でのNISAは、あくまで老後のための資産形成という位置づけでした。「中期的に使うお金を作る」という発想には、まだ至っていませんでした。持株会からNISAへの流れはできていても、それは老後資金作りの一部であって、車のような数年先の目標のための資金という発想には、まだつながっていなかったわけです。

AIと一緒に、貯蓄計画を設計してみることに

そこで、この持株会という「すでにある先取りの仕組み」を軸に、その先のお金の流れをAIと一緒に設計してみることにしました。

• 単元株数が貯まったら、証券口座に移して現金化する

• 現金化したお金を、車購入資金用の銀行口座に集約する

• その口座残高の管理ルールも決めておく

というように、点だった持株会、銀行口座を、車購入という目的地までの一本の線につなげていく作業です。

パーキンソンの法則を知ったことで「目的地を先に決めておく必要がある」という結論に至り、それを実践する手段として、すでに手元にあった持株会という制度に目をつけた——というのが、このシステムの出発点でした。

次回は、この仕組みを作る上でもう一つ大事にした前提、「妻を巻き込まない設計」についてお話しします。

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